確定申告で必要になる!不動産投資の減価償却費の仕組みと計算方法

投資用不動産などを購入する場合は、確定申告書に必要な減価償却費を計算しなければなりません。 現在では会計ソフトなど、ツールが充実していますが不動産を所有しはじめて間もない方は、それでも計算方法になじみがないかもしれません。
そこで今回は、不動産の減価償却費の仕組みと計算方法についてご紹介します。







減価償却とは

減価償却とは、ビルなどの建物などの「資産」を購入した場合「資産」を経費に計上するために、年単位の資産価値を計算して毎年少しずつ経費に変えていくことを表します。

建物などの不動産は、時間の経過によって価値が減少していきます。 この価値の減少が国に認められている資産のことを減価償却資産と呼び、購入時の価格を法定耐用年数に応じて計上していくことができます。

例えば、20万円で液晶テレビを購入したとしましょう。 購入価格20万円を液晶テレビの法定耐用年数5年に分配すると、1年あたり4万円になります。 つまり、このテレビは1年ごとに4万円の価値が減ると評価され、購入の翌年から5年間、毎年4万円を経費として計上できることになります。

今回の例は「定額法」による計算の例です。 実際には「定率法」という、初めの年ほど償却費が高く、年々下がる計算方法なども存在しますが、この記事内では、理解しやすい「定額法」に焦点を当ててご紹介していきます。



不動産の減価償却費、計算方法は?

2007(平成19)年4月1日に償却率の改正がありました。 不動産を取得した時期が、2007(平成19)年4月1日を境目に償却率と計算方法が変わります。


・2007(平成19)年3月31日以前に購入した不動産の計算式(旧定額法)
 建物の購入代金 × 90% × 旧定額法の償却率 = 減価償却費

・2007(平成19)年4月1日以後に購入した不動産の計算式(定額法)
 建物の購入代金 × 定額法の償却率 = 減価償却費


減価償却ができるのは建物だけになります。 建物の価格が売買契約書に明記されている場合は、その価格を計算式に当てはめて算出します。 売買契約書に、土地と建物のそれぞれの金額が明記されていない場合は、購入時に担当した不動産仲介業者に問い合わせてみましょう。



◆まずは建物の法定耐用年数を確認する◆
法定耐用年数とは、国によって定められた減価償却資産の寿命です。 建物の場合、構造や材質によって異なります。 例えば、鉄筋コンクリート住宅(RC住宅)は47年、軽量鉄骨住宅は27年、重量鉄骨住宅は34年、木造住宅は22年が耐用年数です。 詳細は国税庁のホームページなどから確認できます。



◆算出された耐用年数から償却率が決まる◆
償却率は耐用年数に対応して決まっており、国税庁が公表している「減価償却資産の償却率表」から確認できます。 新築物件の場合は、そのまま法定耐用年数に応じた償却率になりますが、中古物件の場合は法定耐用年数をもとに耐用年数を算出する必要があります。

・例1 法定耐用年数の全部を経過した資産
法定耐用年数の全てを経過している中古物件の耐用年数は以下の計算式で求めます。
 法定耐用年数 × 20% = 耐用年数

2007(平成19)年3月31日以前に取得した木造住宅 法定耐用年数の全部を経過
 22×0.2=4(端数切り下げ)

耐用年数は4年です。償却率表から、耐用年数4年の償却率は0.250になります。

・例2 法定耐用年数の一部を経過した資産
法定耐用年数の一部を経過している物件の耐用年数を求める計算式は次の通りです。
 (法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 0.2

2007(平成19)年4月1日以後に取得したRC住宅 築8年経過
 (47 - 8)+ 8 × 0.2=40

償却率は耐用年数表40のところの、0.025になります。



◆最後に、減価償却費を求める◆
例2、RC住宅の建物部分の価格を2,000万円と仮定します。
 建物の購入代金 × 定額法の償却率= 減価償却費 なので、

 2,000万×0.025=50

計算によって算出された減価償却費は50万円になります。



おわりに

今回は、建物の減価償却費の仕組みと計算方法についてご紹介しました。 定率法の計算式や償却率表など、詳細な情報は国税庁のホームページなどから確認しましょう。 投資用不動産を所有している場合、確定申告で減価償却費の計算が必要になります。 この記事を参考にしていただき、ぜひ確定申告の際に役立ててください。

(平成29年4月)





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