マイホーム売却で損が生じた場合の特例

はじめまして。税理士の在間です。今回から不動産に関わる税務について、なるべくわかりやすくお伝えしていこうと思いますので、よろしくお願いします。


第1回目の今回は、「マイホーム売却損が生じた場合の特例」です。

マイホームを処分した場合、損失が出ることもあると思います。その場合に、一定要件を満たすと給与など他の所得から差し引く(これを「損益通算」といいます)ことができ、差し引きしきれなかった金額は翌年以降3年間繰り越して他の所得から差し引く(これを「繰越控除」といいます)ことができます。


この特例には2種類のものがあります。

Ⅰ 住宅ローンが残っているマイホームを売却して損失が生じた場合の損益通算及び繰越控除

住宅ローンがまだ残っているマイホームを、住宅ローンの残高を下回る金額で売却して売却損失が生じた場合、 一定要件のもと損益通算及び3年間の繰越控除ができます。


(例)8年前に5千万円で取得したマイホームを1千万円で売却した。売買契約日前日の住宅ローン残高は2千万円であった。(説明簡略化のため減価償却費計算は考慮しません。)

売却損

1千万円(売却金額)-5千万円(取得金額)=△4千万円(売却損失)
2千万円(ローン残高)-1千万円(売却金額)=1千万円(損益通算限度)
4千万円>1千万円  ∴ 1千万円が損益通算できる金額

適用要件等

①マイホーム売却の売買契約日前日において、償還期間10年以上の住宅ローンの残高がある場合が対象となります。
②この特例はマイホームの買換をしない場合であっても適用できます。

Ⅱ マイホームを買い換えた際に売却損失が生じた場合の損益通算及び繰越控除

マイホーム(旧自宅)を売却し、次のマイホーム(新自宅)を住宅ローンを組んで取得した場合に、旧自宅の売却損失が生じたときは一定要件のもと損益通算及び3年間の繰越控除ができます。
この場合の売却損は売却代金から取得費を差し引いた金額になります。

適用要件等

①売却した年の前年1月1日からその翌年12月31日までに家屋の床面積50㎡以上の 新自宅を住宅ローンによって取得し、取得した年の12月31日までに新自宅に居住し、 取得した年の12月31日において新自宅の住宅ローン残高がある場合が対象となります。
②旧自宅の敷地が500㎡超の場合、500㎡を超える部分に対応する損失は、繰越控除の対象になりません。

その他、Ⅰ及びⅡに共通すること

①親族等への売却は適用不可です。
②売却した年の1月1日において所有期間が5年を超えるマイホームで日本国内にあるも のが対象となります。
③繰越控除は、所得3千万円(給与収入のみなら3,336万円)を超える場合、その超 える年のみ適用不可です。
④他の居住用財産に関する特例の適用を受けている等、一定の場合には損益通算、繰越控 除の適用不可です。
⑤住宅ローン控除との併用は可です。



いかがでしたでしょうか。マイホームを売却して上記のような条件を満たす場合、 確定申告すれば有利になるケースも多いかと思います。
この特例は適用期限が平成25年12月31日までの売却となっていますが、 平成26年度税制改正において、2年間延長され平成27年12月31日の売却まで適用が認められる見込みです。




  執筆者
  在間 真太郎(ざいま しんたろう)
  1963年生 50歳
  1986年中央大学商学部卒業後、小沢公認会計士事務所入所。
  1989年税理士試験合格、現在に至る。
  資産税案件、相続税案件を多数手掛ける。


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